適応障害

適応障害

適応障害とはストレスが原因でうつ、不安、自分や他人や状況に不適切な行動をとってしまう精神障害です。 精神疾患の中ではストレス関連障害と言う大きな障害群に分類されます。

ストレス関連障害とはストレスやトラウマ、心的外傷などに関係して起こす疾患の総称です。
適応障害の他にPTSD、急性ストレス障害、反応性愛着障害、脱抑制性対人交流障害などが代表的なものとして挙げられます。


適応障害の症状について

適応障害の症状は、ストレスに対する自然な心身の反応(ストレス反応)の延長線上にあります。通常のストレス反応との違いは重症度です。症状の現れ方については、ストレスを受けた状況や本人の感受性にも影響されるので様々ですが、主に4つの状態に分類されます。これらの何らかが目立った状態、またはいくつかが混合した状態となって現れてきます。

不安症状を中心とする状態

  • 不安
  • 怒り
  • あせり
  • 緊張 など

うつ症状を中心とする状態

  • 憂うつ
  • 喪失感
  • 絶望感
  • 涙もろさ など

問題行動を中心とする状態

  • 遅刻
  • 欠勤
  • 早退
  • 暴飲暴食
  • ギャンブル中毒 など

身体症状を中心とする状態

  • 不眠
  • 食欲不振
  • 全身倦怠感
  • 疲れやすい
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 腹痛
  • めまい など

適応障害とうつ病の違い

適応障害もうつ病も、うつ、不安、自分にも他にも不適切な行動、体調不良(自律神経失調、倦怠感、疼痛、睡眠障害)などの身体症状など共通する症状を起こします。

適応障害とうつ病は診断がはっきりしない事があります。 これにはいくつか理由があります。

疾患分類

分類について、WHOの国際疾患分類とアメリカのDSM5という2つの疾患分類があることです。
公的な場面ではWHOの疾患分類を使い、研究や学術ではアメリカの疾患分類を使いますが現場ではこれらが色々な理由で混用されて使われる場合が多いという事情があります。

うつとの線引き

単純に、両者の線引きが難しい場合が多くあります。
また原因はともかく、適応障害にはストレスが必ず関与しているのに対して、うつ病はストレスが関与していない場合があります。
適応障害発症の原因は必ずストレスですし、症状もストレスがなくなれば改善します。
それに対してうつ病はストレスとは関係なく起こる場合があります。


適応障害の治療について

治療においては、まず原因とされるストレスの軽減が図れるようにします。 さらに環境を調整し、適応しやすい状態に整えます。とはいえ、環境調整が難しいケースも少なくありません。そのような場合に行うのが、次のような治療法です。

適応障害の治療について イメージ

精神療法

ストレスの原因に対する受け止め方のパターンにアプローチし、ストレスにうまく対処できるように、物の考え方とそれに伴う行動の変容を促します。

薬物療法

不安や不眠などに対しては抗不安薬、うつ状態に対しては抗うつ薬などが用いられます。適応障害の薬物療法は「症状に対して薬を使う」という対症療法になり、根本的な治療には結び付きません。そのため適応障害の治療にあたっては、環境調整や精神療法がより大きな重要性を帯びてきます。


適応障害のケア

一般的に我々は過去の出来事を記憶していきます。
インパクトの強い出来事であればなおさらです。それは後で思い出したり夢に出てきたりします。

他方でストレスや精神疾患による脳の萎縮や知られるようになりました。
疲労、寝不足、トラウマ、なんであれストレスは脳に恒久的な変化を与えます。
精神科の医療現場では症状がある程度を越えると適応障害からうつ病に診断が変わります。

適応障害やうつ病ははっきり区別できるものではないのかもしれません。
しかし症状が軽く短期で症状を改善させてしまえばしまうほど、後に後遺障害や再発が低下します。
ですからストレスも適応障害も軽く短い期間で解消した方がよいので早期発見早期治療が大切です。

一次予防

ストレスを感じず、適応障害にならないよう予防

二次予防

早期発見、早期治療によって、病気の進行を予防

三次予防

再発の予防や、気分障害の発症を予防


再発について

適応障害になるとトラウマや自信喪失を伴うため、治った後も再発したり、うつ病や持続性気分障害などの気分障害を発症しやすくなります。

再発は人生に悪い影響を及ぼします。
生物学的に加齢もあいまって脳機能の障害が起こります。
自身の喪失や自己実現や役割同一性のあきらめと言った実存的な問題を起こします。

またべたな表現ですが生涯年収の低下やキャリアダウン、キャリアアップができなくなるなどの損害が生じます。
それは個人だけではなく社会的損失でもありますので社会全体でメンタルケアの意識を高める必要があります。


当院の治療について

日本は歴史的経緯などからメンタルヘルスの意識が低く偏見も強いため長らく先進国の中でも自殺が多い国でしたが近年は都市部や若い世代を中心にメンタルケアの意識が高まり偏見も減ってきています。

医学の進歩や社会のメンタルヘルスのインフラやサービスが充実してきており、治療もガイドラインや標準治療が浸透してきています。

当院では優秀なスタッフによる医学的知識と多くの臨床経験に基づいた患者の方々の個別の事情に対応した標準的治療を提供しています。

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