
適応障害は、新しい環境に適応することができないことで、様々な心身の症状が現れ、社会生活に支障をきたしてしまう状態です。
日常生活のストレスを原因としており、生活環境の変化や過重労働、パワーハラスメント、適性に合わない業務などが原因となることが多いです。多くの場合、生活の変化や強いストレスのかかる出来事が生じてから1ヶ月以内に発症すると言われています。
適応障害は、うつ病と症状がよく似ているとも言われますが、うつ病とは異なりストレスの原因や出来事がはっきりしていることが多く、その原因から離れることができれば、症状は次第に改善していきます。ただし、ストレスの原因から離れることが困難であったり、取り除けないような状況になると、症状が慢性化することもあります。
適応障害の症状について
適応障害の症状は、ストレスに対する自然な心身の反応(ストレス反応)の延長線上にあります。通常のストレス反応との違いは重症度です。症状の現れ方については、ストレスを受けた状況や本人の感受性にも影響されるので様々ですが、主に4つの状態に分類されます。これらの何らかが目立った状態、またはいくつかが混合した状態となって現れてきます。
不安症状を中心とする状態
- 不安
- 怒り
- あせり
- 緊張 など
うつ症状を中心とする状態
- 憂うつ
- 喪失感
- 絶望感
- 涙もろさ など
問題行動を中心とする状態
- 遅刻
- 欠勤
- 早退
- 暴飲暴食
- ギャンブル中毒 など
身体症状を中心とする状態
- 不眠
- 食欲不振
- 全身倦怠感
- 疲れやすい
- 頭痛
- 肩こり
- 腹痛
- めまい など
適応障害の治療について
治療においては、まず原因とされるストレスの軽減が図れるようにします。 さらに環境を調整し、適応しやすい状態に整えます。とはいえ、環境調整が難しいケースも少なくありません。そのような場合に行うのが、次のような治療法です。
精神療法
ストレスの原因に対する受け止め方のパターンにアプローチし、ストレスにうまく対処できるように、物の考え方とそれに伴う行動の変容を促します。
薬物療法
不安や不眠などに対しては抗不安薬、うつ状態に対しては抗うつ薬などが用いられます。適応障害の薬物療法は「症状に対して薬を使う」という対症療法になり、根本的な治療には結び付きません。そのため適応障害の治療にあたっては、環境調整や精神療法がより大きな重要性を帯びてきます。
ご自身・周囲の方の心身にご不安を感じられたり、治療についての詳しくお聞きになりたいという方は、遠慮なくご受診ください。