統合失調症

幻聴や妄想などの症状が特徴的な精神疾患が統合失調症で、思春期から青年期に多くの方が発症します。およそ100人に1人の割合で発症すると言われています。


有名だけど知られていない疾患

「統合失調症」は精神科の中心的な問題です。
まず人口の2~3%は罹患します。
今までのクラスメートの中で統合失調症になっている人は知らない間にずいぶんいると思います。

そして急性期がおさまっても後遺症が遺ったり、急性期が再燃、再発したり、急性期が終わらず慢性化したりするので治癒すると言えず、罹患率すなわち有病率のようなイメージで、一度発症すると一生付き合うことになりかねません。
一度発病すると何らかの問題がその後の生活でも関係してくるため、障害者としてハンディキャップを負うことが見られます。

頻度という意味では高齢社会になり認知症も精神科の患者さんの中で増えており、特に地方などの高齢者が多い地域では統合失調症とともに、あるいは統合失調症よりも精神科医療の中心になっている地域もあるようです。


統合失調症はどんな病気?

「統合」あるいは「統合失調」、「分裂」「解体」「連合心理」「連想」という言葉で表現される統合失調症とはどんな病気なのでしょうか。

統合失調症は大きく分類すると精神病の一種です。
統合失調症の外国語表記のschizophreniaのphreniaの部分が歴史的な精神病の表記法の一つになります。
精神病というと意味が分からないかもしれませんが、分かり易い言葉にすると狂気と同じ意味になります。
精神科では「狂う」という言葉は避けるようになっていますので分かりにくい部分かもしれません。

「精神病症状はどういう仕組みで起こっているのか?」、あるいは「狂気とは何か?」というのが精神科のみならず哲学などの人文科学も含めた広範な領域での大きなテーマです。

特徴

「狂気」や「狂う」という言葉からいうと精神病とは意思疎通や理解や表現がうまくいかなくなる状態を指します。
向こうの言っていることがこちらに分かりませんし、こちらの言っていることが向こうにも分かりません。

統合失調症の患者さんは「分からないことが分からない」状態になることがあります。

前者を認知機能障害とすれば、後者はメタ認知(機能)障害と言います。
メタ認知障害も認知機能障害の一種かもしれませんが、特に精神病でも認知科学的にも特徴的な症状なので分けて書きます。

メタ認知(機能)障害

言葉であれ行動であれ相手の事が分からない、そして分かっていないこと自体を意識できていない場合には恐怖や絶望感、孤立感などの感情が生じる事がありますし、分からないことが分からない場合には分かったつもりになろうとする力が働いて分かった気になることがあります。

相手のことを分かったつもりになるためには、何か理解する内容が必要になります。
相手が理解して伝えてくる内容と患者さんの理解が異なればおかしいと思うでしょう。

そしてお互いが理解している内容が全然違うのにそれを同じと思っており、違うことを理解してもらうことができず、相手が同じ内容を理解していると思っている状態が精神病、あるいは狂気が生じます。
努力して疎通を図ろうとしても溝が埋まりません。


統合失調症の症状

まとまらない言動や行動は主体性を確立する機能、自他境界をひく能力、実体意識性、唯一性・単一性、同一性、注意力、集中力や持続力、などの失調です。
感情の平板化や意欲低下などの知情意の中の情意の低下、消失を表します。
これはどちらかと統合の失調と理解するよりは、感情量や意欲量の低下と見られることも多いようです。

昔は陰性症状に不穏や興奮などを伴わない認知機能障害も含んだようですが、今は認知機能障害は陰性症状と分ける傾向にあります。

以下のような症状がある方は、一度、当院にご相談ください。

  • 周囲に誰もいないのに人の声が聞こえてくる
  • ほかの音に混じって、誰かの声が聞こえてくる
  • 街ですれ違う人に紛れている敵が、自分を襲おうとしていると思いこむ
  • 近所の人のせき払いは自分に対する警告に違いないと思いこむ
  • 自分が道路を歩くと、皆がチラチラとこちらを見ると思いこむ
  • 警察が自分のことを尾行していると思いこむ
  • 考えていることが、実際の声となって聞こえてくる
  • 自分の意思に反して、誰かに思考や体を操られてしまっていると感じる
  • 自分の考えていることが世界中に知れわたっていると思い込む
  • 日常生活や社会生活において適切な会話や行動や作業ができにくい など

定義について

ヤスパースの精神病理学原論をはじめ歴史的経緯からその後の発展をふくめて色々な定義がありますがここでは大雑把にとらえます。

妄想と想像や空想の違いは現実や事実と乖離があること、修正不能なことなどと言われます。
逆に想像や空想を現実や事実と比較したり現実や事実と合うようにするに知情意や色受想行識などいろいろな精神機能を強調させ精神的要素を統合させていると見ることができます。

そういう面では妄想と空想や想像はある面では変わりません。
しかし現実適応的に行うように他の精神能力が上手く統合するように働かないのです。

幻聴

我々は言葉や声には出さなくても声を頭の中で使用します。

本の黙読、作文、空想や想像、誰かと対話したり説得することを考えること、はっきりした言葉でなくても思考の際の象徴や記号の使用時には文字の形だけでなく文字の名前や読み方を頭の中で音読する要素があります。
これが自分の声と感じられず外界から発せられると感じることを幻声⊂幻聴⊂幻覚⊂盲覚といいます。

統合失調症で特徴的なのは幻声です。
声というのは頭の中ではいくらでも作られるものです。

それを単に頭の中の声でなく外から聞こえると感じるためには、普通の人にはない特殊な能力があるか、元々働いている機能が異常、失調を起こしたと考えられます。

昔は幻声が聞こえるのは特殊な能力で宗教的な意味などがあると考えられていた時代もありましたが、現在は頭の中で作り出した声という精神要素を自分の頭の中の表象であって主体的にコントロールできるという感覚する能力の失調と考えられています。


統合失調症の治療について

薬物療法が大切です。

また予防医学や精神科だけでなく精神科公衆衛生や保健福祉施策全般が大切です。
特に二次予防と言われる急性期治療と三次予防は必須です。

ここでは薬物療法が二次予防と三次予防ではそれぞれ別の意味で使われます。
精神科では精神科以外の科と比べて精神科の疾患全般で、三次予防の大切さが際立っているという特徴があるとさえ言えます。

統合失調症の場合では初発時の治療が成功すればいかに2回目の急性期再発または亜急性期危機的な再発をさせないかが勝負になります。

統合失調症に限らないかもしれませんが、精神的な出来事は良いことでも悪いことでも意識できても出来なくても脳に記憶される、あるいは刻まれる、変化の足跡を残します。
統合失調症ではそれが顕著ですので急性期が多い程その後の機能低下が顕著になります。


再発について

昔は受験病と言われたこともあるように10代後半から20代前半に初回発症する人も多いのですが、初回発症であればまだ人気で学力的に入学のハードルの高い大学への心学や門戸の狭い職場への就職が見られますが、機能低下が顕著であれば進学や就職、あるいは学業や就労継続自体が続かなくなっていきます。
初回発症時は特に気を使って治療と再発予防の心理教育を行い通院と服薬をいかに継続してもらうかが患者さんの人生を大きく分けます。

統合失調症に限らずうつ病や適応障害等のストレス性障害でよく見られますが、再発は人生を変えます。
具体的には生涯年収やキャリアや昇進、就労継続能力、転職の多さや無職期間などにマイナスの影響を与えます。

これは2回目再発したという信用や人の見方もありますが、やはり機能低下や自分自身への自信低下や挫折体験として心的外傷として働きますし、身体の不良感、自律機能や自律神経の調整不良、睡眠能力の低下や健康感や元気やテンションの低下、性格変化、免疫力低下、持病の悪化、老けるなどの老化の進行の早まりなどその後の自分の全てに関わっていると言ってもいい程です。

薬を飲まなくても再発せずやっている人も沢山いますが、再発して家族から孤立したり、経済的な公的扶助を受けざるを得なくなるような生活の悪化に見舞われる人も多数います。

良い薬も沢山開発されている中で薬剤中止や終了を行う際には大きな冒険になります。
人生に関わるリスクを冒すのは少なくともほんとうに慎重に考えてバックアップ体制をしき保険や再発時の対応など準備した上で慎重に行う必要があります。